平成14年12月26日

岡崎市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告

岡崎市長殿
岡崎市議会議長殿
岡崎市議会各会派代表者殿

岡崎市伝馬通2−33「市民オンブズ岡崎」事務局内
市民オンブズ岡崎(代表 渡邉研治)


一 監査の対象 
岡崎市議会各会派の平成13年度政務調査費収支報告書および領収書
これ等を市民の視点で監査したところ、いくつか問題のある支出が散見されました。以下にそれぞれ問題点を指摘してありますので、違法または又は不当な支出については各会派から費用の返還をもとめ、その余の点については改善を勧告します。

二 監査の結果
1 公費で支出することは違法、不当な支出と思われるもの。
@ 個人が所有するパソコン及びその付属品の購入、修理代、インターネット接続費用など
平成13年度3月総務委員会記録、第30号議案「平成13年度岡崎市一般会計予算」審議において、犬塚義彦氏の質疑があり、平成13年度には各会派に1台(5人以上の会派には2台)のパソコンと1台のプリンターが設置されることは議会事務局庶務課長藤井氏の答弁であきらかにされ、市議会各会派には十分周知されていたと思われます。たとえ会派のために購入したと強弁しようとも、個人の所有とするものであることは明白です。よって、以下に示すパソコン関連機器等の費用は返還すべきです。
ア 「ゆうあい21」ではケーブルテレビ「ミックス」で2件のインターネット接続費用が計上されて(52,500円)いますが、自宅のパソコン用と思われます。またその前後に購入したパソコン周辺機器も同様である(47,797円)と思われます。
イ 「自民新風会」ではパソコン等修理代3件(87,654円)を始め、インターネット接続関係器(36,540円)、モデム,ルータ代(29,463円)、パソコン部品代(63,482円)、CD−Rが3台(54,669円)、MOが1台(45,202円)、プリンターが4台(108,280円)、スキャナーが3台(51,457円)など個々人が自宅パソコンのために購入したとしか考えられない費用を支払っています。
ウ 「自民党市議団」でも個人の所有としか使わないBSチューナー(49,140円)、FAX(38,640円)、DVD(176,400円)、プリンター4台(176,132円)、スキャナー(18690円)などを購入しています。
エ 「公明党」ラン整備等(38,587円)、プリンター(28,140円)、スキャナー(8,400円)等は個人的所有のものと考えられます。
オ 「民主クラブ」でもプリンター(34,125円)CD−RW(40,162円)、ノートパソコン1台(229,500円)、パソコン、プリンターセット(335,874円)を購入しています。
カ 「共産党市議団」でもプリンター(47,250円)を購入しています。
個人会派を除く全ての会派は政務調査費を報酬と間違えていないでしょうか。
A 勉強会、視察等で支払われた食事代は、誰でも毎日毎食どこかで食事するわけで、個人負担すべきです。
ア 「ゆうあい21」は11月5日に施設等の視察の折、えちぜん岡崎店において食事代(9,933円)を支出していますが、個人負担すべきです。
イ 「自民新風会」がほぼ毎月行った勉強会の食事代を支出していますが、会議室使用料を支払うならわかるけれども、食事をしなければ勉強会が出来ないというのはおかしいです。食事代(総額534,192円)は個人負担すべきです。また、市行政をチェックする議会人として、公的な施設の利用を促進する責務があり、市の会館会議室を利用することが望ましいと考えられなかったのでしょうか。
B 親睦旅行、観光旅行と思われる視察旅費。
政務調査ということで視察した以上は報告書が作成されなければならないと考えます。現に報告書を作成している自治体もあります。公費であるということを考えれば、市民への公開もなされるべきです。報告書のない視察は視察といえません。
ア 「ゆうあい21」所属3名、「自民新風会」所属6名は5月21日から23日の3日間沖縄県石垣市に合同で視察に出かけています(「ゆうあい21」で419,040円、「自民新風会」で838,080円)。サッカーパーク見学やクリーンセンター視察とされていますが、参考にするほどの先進性があるとは言えず、親善都市として昭和44年2月19日に提携しているとはいえ、頻繁に多くの議員が訪れるのは観光が目的の旅行であるといわざるをえません。
イ 特に、「自民新風会」稲垣良美氏にあっては5月6日から8日にかけても沖縄市、具志川市、多良間村に出かけ(110,680円)、翌1月30日から2月1日に「自民新風会」12名で具志川市、沖縄市、宜野湾市を訪れ(1,328,160円)、3度にわたる沖縄県への視察旅行を行っていて、たいへん不自然です。
ウ 「自民党市議団」2名も2月13日から16日にかけて鹿児島県川内市,沖縄県那覇市,具志川市を訪れていますが、目的が他の会派と同じように思われます。(301,680円)。
エ また、一人会派の伊藤文治氏は沖縄県石垣市に4月18日から20日(139,680円)、11月1日から5日の2度にわたる視察旅行(183,180円)を行っていますが、参考にするほどの先進性があるとは言えず、何が目的であるのか判然としません。 議員さんは沖縄にとても興味があるようですが、視察と称して観光旅行費用を調査旅費で計上していることは言語道断です。
オ その他「自民党市議団」6名が10月30日から11月2にかけて北九州博覧会見学(6名)と宮崎市での全国都市問題会議(5人)に出かけています(712,520円)が、別行程の柵木氏と一緒に岡村氏がホテルをキャンセルしており、旅費と日程と人数が不一致です。ホテルをキャンセルした岡村氏は別行動を取ったのに旅費の精算がないことはおかしい。この他、自民党市議団岡田氏が7月2日から4日に鹿児島市と加世田市(114,360円)、大川氏が4月17日から19日に北九州市と福岡市(93,460円)、自民新風会小野氏が8月23日から24日に宮崎県都城市(84,900円)、ゆうあい21の岡崎氏、太田氏が10月9日から12日に熊本市、古賀市、北九州市(245,140円)を訪れ、岡崎氏はじめ8名が10月31日から11月2日に日南市、宮崎市を訪れています(830,080円)。また民主クラブの加藤氏は4月24日から25日に長崎市を訪れています(63,760円)。 議員さんたちは九州も好きらしい。
C  払ってもいない交通費
ア 県外旅費のうち、特別車両料金は基本的に利用していないと考えます。その分を返納すべきです。特に必要があり、実際に利用して領収書を添付している場合のみ交通費として計上すべきです。新幹線利用の場合でも指定席を取れば十分で、特別車両(グリーン車)を利用する必要はありません。また、日当については、公務で命ぜられて出かけるならいざ知らず、自分たちの自主的な政務調査であるならば、支給するのはおかしいと思います。特別車両料金及び日当は返還すべきです。
イ 県外旅費のうち、航空運賃は実際に支払った額とすべきです。伊藤文治氏が沖縄県石垣市に訪れた4月18日から20日、11月1日から5日はいずれも全国どこでも1万円キャンペーン中であり、これにより旅行するということもありうるわけで、もしこれを利用した場合は不当な収入を得ることになります。航空運賃については各社の競争があって、時期によって金額が違うので、実際に支払った領収書を添付して、その実費を支払うのが望ましいと考えます。
D 条例で公聴費はあるが、広報費はないので会派の広報印刷代は違法支出です。
ア 「共産党市議団」は5回にわたって「市議団ニュース」を発行していますが、これにかかる586,565円は違法支出である。
イ 「民主クラブ」が支出した葉書代75,000円及び印刷代67,000円も同様で条例にない違法な広報費です。
ウ 伊藤文治氏は市政報告書の印刷代として29,250円支出しているが、同様に違法支出です。   
2 個人の持ち物となるものは個人負担するべきです。会派で所有するならばよい物であっても、個人が所有することが予想され、何年か後には会派に戻す約束であっても、そのときには時代遅れの陳腐な品物になってしまう物については個人負担すべきです。
ア 「自民新風会」では(デジタル)カメラが7台(301,182円)を支出しています。
イ 「自民党市議団」ではデジカメ4台(197,822円)、電子辞書3台(102,159円)、など個人の所有となるものを購入しています。
ウ 「公明党」でも同じくデジタルカメラ3台(149,177円)を購入しています。
3 政治活動であり、政務調査費で支出することが不適当であるため条例に加えなかった広報費についての支出は違法です。
 ア 「民主クラブ」で支出されていた市議会ミニミニ通信の葉書代75,000円 及び印刷代67,000円は条例にない広報のための違法な支出です。また、この支出が適法だとしても1500枚のはがき印刷に67,000円の印刷代は高すぎ、不当な支出です。
イ 「ゆうあい21」は10月7日〜8日に茅ヶ崎市と東京都永田町に出かけ、調査旅費を請求しています(430,740円)が、10月8日の国会陳情は政務調査といえず、支出することは違法です。
ウ 「伊藤文治」氏は市政報告書印刷で29,250円支払っていますが、条例にない広報のための違法な支出です。
エ 「共産党市議団」は「市議団ニュース」の発行で586,565円支出していますが、広報のための支出は違法です。
4 支出の実態が証明できず、不当に支払われているもの。
@ 領収書がなく、または領収書が疑わしく支出の証明が困難なもの。
ア 「公明党」(1,200,000円)、「自民党市議団」(2,100,000円)、「ゆうあい21」(2,700,000円)、「民主クラブ」(750,000円)、「自民新風会」(3,900,000円)、「伊藤文治氏」(200,000円)では使用の実態がわからないまま、ガソリン代として月額15000円、電話代10000円が支払われていますが、一般的に見てもそれほど必要であるとも思えません。領収書がない支出は不当な支出といわざるを得ませんので、返還すべきです。
イ 「自民党市議団」の3月28日付けフカツ電化社美合店で購入した電子辞書(41,790円)、ビデオ(36,540円)、FAX(38,640円)、ICレコーダー(23,940円)、デジカメ(49,140円)、BSチューナー(49,140円)、プリンター(49,140円)は3月4日に購入した現像カートリッジ(45,000円)の領収書(収入印紙が張ってある本物の領収証)と違うだけでなく、デジカメ、BSチューナー、プリンターは共に49,140円であるという不自然な金額です。
A 図書購入について、政務調査活動と関係がわからないものや全く関係のない書籍の購入が多くありました。
ア 「自民新風会」では「エクセル説明書」や「寺院遺跡ガイド」など政務調査とは関係ない書籍の購入(28,306円)、また「書籍4冊」「本代金」などと内容がわからず、政務調査費で支出することが適当かどうか判断できない支出が多くありました。
イ 「共産党市議団」では「銀の林」「百合子輝いて」「新しき光の中で」「花の歳時記」(7,698円)などが政務調査とは関係のない個人的趣味の書籍購入であると思われます。
ウ 「自民党市議団」が購入した「懐かしの昭和」(24,000円)は個人的趣味でしょうし、「新世紀の部落解放と闘争」という60,000円もする本を政務調査費で購入する必然性があったかどうか疑問です。
エ 「公明党」が購入した「IT基礎パソコン入門」、「中高年のためのパソコン入門」(13,050円)も同様、個人で購入すべき書籍です。
B 市が主催し、国の補助金まで付いた事業IT講習会は議会でも承認された事業です。講師料等は全額市が負担し、参加者負担はテキスト代のみで、講習会費用は要りません。さらに応募者が少なく、職員が人集めに奔走していました。議員ならばそれに参加すべきでした。講習会費の公費の無駄使いです。
ア 「公明党」はパソコン講習費用136,270円を民間業者に支払いました。
イ 「自民新風会」は「パソコン研修」(52,000円)を同僚議員が経営する「いながきよしみパソコンスクール」で実施しています。
5 2重に請求しているもの
  「共産党市議団」が書籍「科学的社会主義を学ぶ」「国民に開かれた党」の分を2重に請求している3,192円を返還すべきです。



三 勧告
  以上述べてきたことをまとめ、
1 各会派は以下の表に示す金額合計額を返還するよう勧告します。
2 今後、視察旅行については報告書を作成し市民に公開すること。特別車両料金を除外すること。また航空運賃については実費弁償ということで、請求書又は領収書を添付させる。
3 本や雑誌の購入で、一般的な小説とか、エッセイとか、政務調査と関係ない書籍の購入を認めない。購入品が特定できるよう、領収書に書籍名を記入すること。
4 会議等は岡崎市の施設をなるべく使うことを心がけ、政務調査費では会場費を負担する程度にすること。
5 電話代、ガソリン代については業者の請求書又は明細書を添付すること。 領収書には具体的品名を載せるとともに、宛先を業者に書かせること。 


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会派パソコン・周辺機器デジカメ、電子辞書 沖縄、九州等旅行費用 食事代・パソコン講習広報費書籍購入領収書のない支出・誤払金合  計/td>
自民新風会476,747 301,1822,361,820586,192 28,3063,900,0007,654,247
自民党市議団459,002299,9811,222,020 84,0002,100,0004,165,003
ゆうあい21100,297 1,925,000 9,933 2,700,0004,735,230
公明党 75,127149,177 136,270 13,0501,200,0001,573,624
共産党 47,250 586,565 7,6983,192644,705
民主クラブ639,661 63,760 142,000  750,0001,595,421
伊藤文治 322,860 29,250   200,000552,110