市民オンブズ岡崎

No.41  2005.4.24
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2005年総会報告
 1 活動方針 @ 昨年度から継続している岡崎市議会議員政務調査費の市民監査継続
A 岡崎市が支出している補助金の実態調査
B 公共事業(集会施設新設、下水道家庭内排水路調査委託など)調査
C 男川ダム計画の撤回に向けた活動
                     
 2 会計報告
      
一般会計                  
収入の部      支出の部      
 費 目  金 額  費 目  金 額
会費    123,000繰り越し赤字 70,498
カンパ    92,500通信費     32,430
事務所貸料 2,000光熱費     27,744
        電話代     11,987
        全国連加盟費 10,000
印刷費         6,585
        文具その他  2,276
        事務所維持会計振替 55,000
        次年度繰越 980
合計    217,500合 計 217,500
事務所維持会計                  
収入の部      支出の部      
 費 目   金 額  費  金 額
繰入金 55,000 事務所賃480,000
維持カンパ425,000
合計 480,000 480,000
 3 例会開催日の変更
     
   第2,第4金曜日を第2,第4木曜日とする
 4 役員改選(留任)
    
   代表    渡邉研治
事務局長 天野茂樹
会計    柿田憲弘
以上のとおりです。よろしくお願いします。
 
 
2003年度政務調査費市民監査報告

1,はじめに  今回も愛知県内で議員・会派に政務調査費を支給する市を対象に、政務
調査費を用いた視察を調査しました。対象は2003年度の政務調査費の支出です。
 ところで、政務調査費については、昨年(2004年)10月に札幌高等裁判所で注目す
べき判決が出されました。札幌高裁は、会派にのみ支給する、と規定されていた札幌市
の政務調査費条例の解釈に関して、会派の政務調査以外の目的での支出は違法であ
る、とする判断を下し、使途について立証しなかった会派に政務調査費の返還を命じた
のです。この判決は、条例が政務調査費を会派に支給する、となっている場合には、当
該政務調査費が仮に議員個人の資質をたかめるものに使われていたとしても、会派の
政務調査活動に使っていない場合には違法だ、とした点で、政務調査費が議員の第
二給与だ、という傾向に歯止めをかけるものになっています。
 この判決を前提とすると、これまでのように、単に「良い経験だった。」「百聞は一見にし
かず」といった程度の視察などが適法な政務調査費の支出になるか疑問です。
 今回はこの判決例も念頭に、視察に対する一人あたりの政務調査費の支出額の大きい、
名古屋市、愛知県を除く上位50の会派の視察について調査をしました。

2,調査方法など
(1)今回も愛知県内全32市中、2003年度に政務調査費を支出していない一宮市、尾
西市、田原市と、情報を公開していない名古屋市を除く28市を対象に、2003年度の政
務調査費の関係文書の情報公開請求をし、県外調査旅費に使った一人あたりの金額の
多い上位50会派(一人会派も含む)を抽出しました。抽出方法のルールは以下の通りで
す。
@政務調査費のうち調査旅費として県外視察に費やした金額を計上した
・政務調査費のうちの「研究研修費」で県外に出かけた費用は計上していない
A使用額が政務調査費支給額を上まった場合は、政務調査費支給額を上限とした
B年度途中で会派が改廃・再結成した場合は、別会派とみなした
(2)50会派が議長宛てに提出した視察の報告書に加え、50会派に対してアンケート調
査を行い、その結果をふまえて、納税者からみて視察が効率的、効果的に行われている
といえるか、視察が議員活動に生かされているか、市政に生かされているか、という観点
から評価、コメントをしました。

3,調査結果
(1) 多人数で行う視察が多すぎる
 相変わらず多人数で行う視察が目立ちます。今や高等学校の修学旅行ですら、興味
関心を共有できる少人数のグループで関心の高いところを見学すると言います。
各会派も事前に十分な下調べを行い、2人位の少人数で視察を実施すれば、より多く
の資料を集めることができるはずです。多人数での視察はみすみすそのチャンスを逃
すのです。
 多人数で視察をする理由について「選挙後で新人が多いため調査内容に共通認識
と指導を考えたから」と理由を答えて頂いた会派(豊川市自民党市議団)もありましたが、
いくら新人とはいえ、問題意識があるからこそ議員になったはずですから、視察先も一
人で決定できるはずです。指導しなければ視察も一人でできない、などという程度の社
会性や問題意識しかもたない人が議員になっているとすれば、それ自体問題です。
 私たちからみれば、多人数での視察は単なる旅行か、行き先が一人では見つけられ
ない議員さんの「救済」視察ではないか、という気がします。しかし、これでは何か昔小
学校で欠かされた読書感想文の「課題図書」のようなもので、身になることはほとんど
ありません。視察先が思いつかない場合には、視察をする必要はありません。多人数
での視察から脱却していただきたい。
(2) 奇妙な視察
 50会派中海外視察に出かけたのは豊橋市の清志会だけでした。この清志会の視察
は問題です。SARS対策の視察のためにシンガポールに、ソウル市のワールドカップス
タジアム等や釜山市の市場等の見学のために大韓民国に出かけているのです。清志会
さん、SARS対策で何か具体的な提言をしましたか?ソウル市や釜山市の視察が豊橋市
政とどういう関係があるのでしょうか。このままだと、この会派は次に「狂牛病対策」でヨー
ロッパや米国に、鳥インフルエンザの対策」でベトナムに視察に行きそうで、心配です。
 他の自治体の会派にもおかしな視察があります。定番化しつつあるのが、「根室市での
北方領土の視察」です。前年は豊明の会派がやっていましたが、今回は津島市の新生ク
ラブ、一期一会がやっていました。北方領土返還が重大な政治課題であることは認めます
が、自治体の議員さんが視察をすることが市政とどう関係するのでしょうか。今回の視察を
津島市政にどのように生かしたのか、きちんと説明していただきたい。
 海やダムのない岡崎市の会派が「海水淡水化施設」「ダム浄化場」見学をしていた例(ゆ
うあい21)もあります。岡崎市には7回の視察中、6回が博物館、美術館、記念館の見学
だった、という議員さん(自民党市議団の団員)もいます。知多市の明和会は2泊3日で
那覇市(ぶんかテンブス)、沖縄市(福祉文化プラザ)、石川市(ビオスの丘)、糸満市(平
和記念資料館)に出かけています。視察というよりも社会見学です。
  (3) そこに行く必然性が見られない
 夏は北海道や東北に、冬は沖縄や九州に視察に出かける、という傾向は相変わらずで
す。もちろん、北海道や沖縄でしか知ることのできないテーマがあれば問題はないのです
が、北海道や沖縄の視察のほとんどが、「なぜそこに行く必要があったのか」という点が理
解できないものです。豊川市の市民クラブは恵庭市でコミュニティバスの運行を視察して
いますが、コミュニティバスは愛知県内の21市17町で走っています。伊達市でのごみ有
料化、江別市での病院機能評価の視察のために北海道に行った西尾市の市民クラブの
視察、なども行き先が先にありき、の印象は拭えません。
 そこに行く必然性が見られない、という傾向はそれ以外の多くの会派にも共通する疑問
です。政務調査費を用いて行う視察ですから、そこに行って参考になった、というレベル
のものでは足りず、具体的な会派の(議員に対して政務調査費を支出する、としている自
治体では議員の)調査活動のためのものでなければならない筈です。調査活動のための
適切な視察先がなけ
れば、各別視察をする必要もないのです。今回の視察記録を見る限りでは、多くの議員さんが、
政務調査費がでるのだから、使わないと損だ、という発想から抜け切れていないように思えます。

  4 むすびにかえて
 政務調査費でどこへ、何を視察目的として出かけたか、という記録は、その議員さ
んや会派の問題意識の深さや調査能力を示すものと思えます。集団での視察しかでき
ない議員さんや会派は調査能力がないことを示しているのではないか、と思えますし、
観光旅行としか思えない視察をしている議員さんは市政に対する問題意識の低さを示
しているといって差し支えないと思います。政務調査費を受領できる、というのは既
得権益ではなく、納税者から市政に調査内容を具体的に生かすよう、付託を受けてい
る、ということなのです。
 今回の調査でも、残念ながら、政務調査費の支出は税金の無駄使いなのではないか、
と思えるものが目立ちました。その一方で、碧南市には、政務調査費を請求しないに
もかかわらず、地域に根ざした議員活動をしている議員、会派があるようです。市民
の批判を浴びないような視察が思いつかない議員、会派の方は、いっそのこと、政務
調査費の受領を拒否されることを求めます。
 最後に、相変わらず今年も、名古屋市と愛知県の会派に対する政務調査費の使途の
非公開が最大の問題であることを指摘せざるを得ません。しかし、札幌高裁のような
判決が出たことをそろそろ真剣に検討すべきではないでしょうか。
 愛知県、名古屋市の各議員の政務調査費の使途の公開を、強く求めます。

2005年3月28日

愛知県市民オンブズ連絡会議
(市民オンブズ岡崎、市民オンブズ知多半島、豊橋の情報公開をすすめる会、名古屋市民
オンブズマンタイアップグループ)

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