市民オンブズ岡崎

No.39  2005.1.14
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あけましておめでとうございます
 
代表 渡邉研治
今年もご支援、ご協力をお願いします。
 
 ちっとも改善されない岡崎市議会政務調査費に腹を立て、返還請求の本人訴訟をはじめましたが、法曹の壁は厚く、わたし自身の未熟さを露呈し、狼狽えています(下記「意見陳述書」をご覧下さい)。
 そして多くの時間をこのことに集中せざるを得ず、多方面への関心を向けることができません。今年は裁判の決着もつくでしょうから、他の問題にも関われると思います。
 特に、額田町との合併に伴う債券の発行や中心市街地活性化補助事業等によるむだな公共事業の実施などに目を光らせていきたいと思います。
 そして、引き続いて下水道宅地内排水路調査事業や男川ダム建設計画にも取り組んでいきます。
 皆さんのご支援、ご協力があってはじめてオンブズマン活動はできるものです。今後ともよろしくお願いします。
 
 
 
平成16年(行ウ)第40号岡崎市議会政務調査費返還請求事件
原 告 渡 邉 研 治
被 告 岡 崎 市 長
 
陳述書
 
名古屋地方裁判所民事第9部 御中
 
平成17年1月11日
 
 
原 告  渡 邉 研 治  
原告本人として、次のとおり事実関係及び意見を陳述します。
第1 政務調査費の制度趣旨について
   岡崎市議会政務調査費の交付に関する条例は、地方自治法第100条第13項及び第14条の規定に基づき、議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として補助金交付を定めた。
岡崎市は平成13年度以前は条例に基づかないまま、「調査研究費」として年間36万円を交付してきていた。岡崎市情報公開条例が制定されていなかったので、条例制定以前の内容は知ることができない。しかしながら、当時各派代表者会議で条例を定めるにあたって前年実績年間36万円でスタートさせることとなっていたところ、新しく市長になられた柴田紘一氏と当時の市議会議長中根勝美氏との話し合いの結果倍額の72万円に増額された。そこで、財政状況が悪くなってきている状況の中、原告は安易に増額することのないよう撤回を求めたが、聞き入れられなかった。原告と中根勝美氏の話し合いの中で、中根勝美氏は「代表者会議では増額を要求していた会派もあった。必要なければ返せば良いことだし、領収書を添付することにしたのだから、使途を市民に明らかにするのでいいではないか。見ててください。」と自信を持って語られた。
そして、原告は平成13年度の政務調査費の報告書類の情報公開を求め、調査した。その結果、あまりにも沖縄県や北海道・九州への視察旅行が多く、また、デジカメ、パソコンなど自宅使用の機器の購入が目に付いた。また、各派代表者会議では月額ガソリン代15,000円、電話代10,000円という額が了解されたが、この多額を実際に使い切ることができるか大いに疑問の余地がある。実際、日本共産党岡崎市議団の3人は他の議員と異なり、ガソリン代や携帯電話代について明細書を添付しているが、この3人を平均すると、月額ガソリン代15,000円、電話代10,000円には到底達しなかった。
そのため、原告は視察旅行については視察報告書を市民に公開することを求め、自宅使用の機器の購入については調査研究に資するためかどうか判然としないため好ましくないので止めるように求めた。ガソリン代、電話代は明細書で支出が明らかになるので請求明細の添付及び実費弁償を求めた。
その上で、平成14年度の政務調査費収支報告書と添付書類を点検し、監査請求をしたが、私たちの言い分は認められず、裁判所への訴えに至った。
被告は岡崎市議会の各会派には「権利能力なき社団性」がなく、不当利得が発生する場合においては市が取得する不当利得返還請求権は支出した議員に対して取得することになると述べて、「権利義務は、構成員各自に個別に帰属する」と言っているが、もしそうであれば「政務調査費は議会における会派又は会派に属さない議員に交付する(第2条)」と条例で定めて、会派に交付したこと自体が違法になり、自己矛盾をおこしていることになる。被告が自ら作成し(提案し)、施行している条例を自ら違法だと主張しているようで、原告は徒労感にさいなまれている。
第2 調査旅費の使途の問題点
  政務調査費は議員・会派の政策形成、立案のため議員の調査研究に必要な経費の一部を公費で、報酬とは別に交付しているものである。2001年度には多くの議員が沖縄や九州地方を視察旅行された。そして、2002年度は加えて北海道、東北地方に視察旅行をしている。しかし、先進的な取り組みがされているとして訪問される自治体が遠方にばかり集中している不自然さは、同行してつぶさに観察できない市民の目から見て異常としか言えない。
それぞれの視察旅行について、具体的に指摘できるものはすでに準備書面で述べているので多くは省くが、たとえ自治体に訪問し当該自治体職員から説明を受けたとしても、それが議会活動に生かされなければただの観光旅行にすぎない。
例えば平成14年7月2日から5日にかけて行われた納沙布岬を有する根室市や釧路湿原を有する釧路市の視察はどうであろうか。原告の入手した資料によっても岡田満氏は自民党市議団等の議員の一般行政視察に同行し、7月3日には根室市に寄り、地域防災計画の説明を聞いた後、納沙布岬へ見学に出かけている(所要時間は2時間半、その多くは納沙布岬の見学に要した時間であろう)。根室市の自然災害は沿岸部における高波被害、及び台風による増水被害が有り、その対策として地域防災組織を作っているが、内陸部にある岡崎市にとって、彼らが見学した納沙布岬は地域防災計画の参考地にはならない。また、7月4日に釧路市で環境基本計画と釧路湿原の保全について説明を聞いた後湿原の見学(所要時間2時間半)を行っているが、雪の多い北海道の湿原の保全計画が大規模な湿原もない岡崎市の環境保全計画に役立つとは思えない(なお、8月12から15日の視察をしたとされる伊藤文治氏の訪庁は確認できない)。そもそも岡崎市議会政務調査費の交付に関する条例が第1条で「議員の調査研究に資するため必要な経費の一部」を補助することで、条例制定等の市議会の目的をより活性化させることにあった。ところが自民党市議団からは1年以上経ったのに湿原保全に関する条例案や動議等も提出されていないし、検討した形跡もうかがえない。
さらに、調査された結果が市民に公表されず、岡崎市の政策形成に寄与しない視察で政務調査費の多く(政務調査費総額の中、自民新風会44%、自民党市議団46%)が使われているが、上記条例第1条の目的に反する支出であるので違法である。
なお、民主クラブが松江市で訪問したノンアイススケートリンクは児島競艇場の場外券売所4階にある施設で、昨年3月には閉館している施設であるので、視察を申し入れた段階ですでに経営的に破綻しており、視察目的が議員の事前に提出した調査研究視察計画書とは関係のない児島競艇場の場外券売所にあったのではないかと推測される。
第3 資料作成費の使途の問題点
   「条例別表」では「会派等が行う調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費」であると規定している(甲1)。しかしながら、会派に1台ないしは数台ならば会派等が行う調査研究活動に供していると言えるとしても、パソコン、プリンターは会派に1台以上貸与されており、さらに必要であれば、市が会派控え室に用意して、それを貸与する程度で良く、自民新風会や自民党市議団のようにそれ以上、前年と合わせれば一人1台のデジカメやプリンターを持つこととなる購入実態は、パソコンやその周辺機器、デジカメ、電子辞書等の事務機器の性質上通常議員個人や個人事務所での個人利用に供されていると考えられる。
条例第5条で使用できない経費として、党費その他政党活動費、交際費、「取扱要領」(甲37)1の(2)「使途に充当できない経費」の@選挙や後援会活動費などが例示されているが、これらの経費も確かに政治家たる議員が議会活動をするために必要であり、議会活動に間接的に役立っていると思われる。しかし、これらの経費を政務調査費の支出として認められないのは、政務調査費として公費で補助すべき経費は厳密に議会活動に直接的に役立つものに限られるからである。
同様一人1台のデジカメやプリンターを政務調査費で購入している実態は、全ての会派とは言わないが、視察報告書などの成果物を見ても、複数台のパソコン、プリンターやデジカメが利用された形跡もなく、使用実態が厳密には議会活動に直接的に役立つといえないB「私的経費」に当たり、違法であるといえる。
第4 電話代、ガソリン代の使途の問題点
電話代、ガソリン代は「条例別表」の「その他の経費」として支出されている。しかしながら、電話代、ガソリン代は原告の経験からも明らかだが、領収書の授受は容易である。そのため、日本共産党岡崎市議団が支出調書に添付したように領収書(口座振替明細書を含む)の添付に何の困難もない。このようなことから、「社会慣習上やむを得ず領収書を徴することができない場合」にはあたらない。このように「社会慣習上やむを得ず領収書を徴することができない場合」ではないのだから、添付された支払証明書は無効であり、この支出は取扱要領に違反するものである。
原告は議長職にあった永田氏、伊奈氏分のガソリン代について問題にしたが、これは月額15,000円のガソリン代が実態と比較して極端に高額であったので、特に問題にしたにすぎない。支払証明書のみを添付し、領収書のない日本共産党岡崎市議団以外の全ての会派のガソリン代、電話代の支出は違法である。
被告が言うように各会派が電話代、ガソリン代をどのように配分するかは会派に任されていることは言うまでもない。しかし、経費として実際に使ったのであれば取扱要領に従って領収書を添付すべきであり、例外にあたらないのに領収書を添付しないのは違法である。また、使ってもいない経費を「使った」として支払証明書を添付したのであれば、それはまさしく違法行為及び不当な利得行為である。
また、被告は原告に経費を使っていないことの証明をせよと要求するが、前記の通り、支払証明書の添付は無効であるのだから、領収書等を添付するという「補正」がされなければならないはずである。このような「適法」な状態、つまり領収書が添付された状態であれば、原告は容易に経費を使っていないと証明できる。それなのに、被告が自ら招いた支払証明書しか添付されていないという「違法状態」を盾に「経費を使っていない証明せよ」と原告に要求するのは、まさしく信義則(民法第1条第2項)違反である。又領収書等の資料を所持しているのは被告であり、それが提出されない限り原告においては立証が極めて困難である。立証の難易・証拠への近さという面からも、被告側に立証責任を課すのが公平である。
第5 広報紙印刷費の使途の問題点
   「条例別表(その他の経費)」は「上記以外の経費で、会派等が行う調査研究活動に必要な経費として議長が必要と認めたもの」としている。よって本来は調査研究活動ではない広報費は違法である。しかし、「取扱要領」は1(1)により使途基準を規定し、@「会派等が行う調査研究活動及び議会活動並びに市の施策について住民に報告、PRするために要する経費」を「その他の経費」として認めている。それに基づいて支出されたことになっているが、例え@が適法としても、その内容を見ると、自民党市議団の広報紙(甲19)発行に係る領収書の不自然さ(領収日が接近した4枚の領収書)や、忘れていたと議会事務局から後日原告に郵送してきた同市議団の広報紙(甲31)の内容は、市が発行する「市政だより」を見れば足りる内容であり、会派等が行った調査研究活動及び議会活動に基づいた広報ではない点からも調査研究活動に関連性のない広報であり、違法である。
   なお、同市議団の広報紙(甲31)については、4頁の左下隅のみにある「自民党市議団」の印刷が小さく印刷されていることに不自然さを感ぜざるを得ない。
第6 その他の問題点
なお、被告は2003年6月23日一部条例改正により「条例別表」(甲2)に「広報費」および「交通通信費」を追加し、2002年度以前の「広報費及び交通通信費」の支出を条例にない支出であることを暗に認めている。また時期不詳(条例改正と同時期と思われる)であるが、2003年度から「取扱要領」の前文の理念規定ははずされ、領収書の添付を求めない場合について、「社会通念上やむを得ない」から、たんに「やむを得ない」と会派で判断した場合でも許されると解釈できるよう緩和されて、私的機関である各派代表者会議における覚え書きである「申し合わせ事項」からは広報紙を議長に一部提出することとしていたのを、会派で保管すれば良いこととして、市民の開示請求を逃れる細工までしている。
最後に、原告は、被告知人が政務調査費の交付を第二の議員報酬のごとく考えて、市民から受託された議員の政策立案や政務調査のための税金を安易に支出することのないよう切に望みながら、陳述を終えたいと思う。
 
 

愛知県内市民オンブズ連絡会報告

愛知県内市民オンブズ連絡会が12月5日に行われ、昨年と同様に政務調査費を県外視察旅費で使った額の多い順にランキングし、50位までを視察報告書やアンケートの回答からコメントしていくことになりました。 豊橋市や豊田市など政務調査費の多い自治体の中でも、岡崎市議会議員の視察旅費の占める割合は飛び抜けていることがわかりました。
 次回、アンケート回答を踏まえながら、各自治体会派の視察についてコメントを作成します。次回連絡会議は2月5日です。
 

 例会開催日の変更
 
 12月27日に行った忘年会で、参加者から水曜日は集まりにくいので、金曜日に変更したらどうかと提案がありました。4月に予定する総会後からの変更と考えていたところ、皆さんの意見は変更するなら1月からでもいいではないかという意見が強かったので、1月から定例会を第2・第4金曜日とすることにしました。
 
1月例会  1月14日(金)午後7時30分
 
1月 28日(金)午後7時30分
 
(次回 愛知県内市民オンブズ連絡会 2月5日(土)午後1時半 リブレ事務所)

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