市民オンブズ岡崎

NO.21  2002.11.2発行
ホームページアドレス http://www.h5.dion.ne.jp/~onbokaza/
E-mail onb-okazaki@k8.dion.ne.jp

なんと、ダムは自然を2度壊す

10月12日雨山ダムと男川ダム建設予定地を見学してきました。

10月12日、「市民オンブズ岡崎」主催で「ダムって何なの?」という企画で、現地見学会を行いました。最初に行った「雨山ダム」はえん堤の高さ21m、幅160m、流域面積2.6ku、総貯水量251tの小さなダムですが、それでも周辺の山肌は削られ、水はせき止められて淀んでいました。
水質を鳥川の男川ダム予定地と比較してみました。pHではより酸性度が高くなっており、透明度もぐっと下がっています。実際目で見た感じでも一方はため水、もう一方はきれいな流水という具合の大きな違いがありました。こうした1次的な環境破壊に加えて、今回の見学会でビックリしたのは、(ある意味では必然なのかもしれないが、)ダム湖にはダム供用時ハヤがいっぱい居たがいまはブラックバスばかりだというダムの管理人の話もあったように、ダムを作れば釣り人たちによって放流されるブラックバスによって、生態系が完全に壊されるという2次災害が起こるということでした。そしてダムの放流によって生態系を破壊するブラックバスがさらに下流河川にも住みつくことを予想させるものでした。

検査項目雨山ダム男川ダム建設予定地
pH5.16.4
電気伝導度0.530.77
濁度62
BO(溶存酸素量)8.909.56
水温19.319.1
塩分0.000.00
捕らえた魚等ブラックバスカワムツ、どんこ、サワガニ、
カワニナ、ヤゴ

参加者のひとり、石川さんの感想を次に掲載します。

※『男川ダム』
音羽町のとなりの額田郡額田町は、岡崎市に注ぐ男川の上流にあり、水資源として
も重要な役割を果たしている。その男川に『男川ダム』というのが建設される予定が
あり、そのための見学会があるというので付いていってみた。
男川ダムの予定地へ向かう前に、さらに上流にすでにダムがあるというので、そち
らをまず見学をしに。それは雨山ダムといって、平成9年にすでに完成している。ダ
ム高21m、総貯水容量25万1千立方メートルという(数字ではピンと来ないけれど)小
規模なもの。現実的になぜこんなところにダムが必要なのだろう、と考えてしまう。
ダム湖の廻りでは、時折ルアーを投げてはたぐり寄せている釣師が目立つ。「何が
つれますか」と問うと「ブラックバスです」の答え。碧南高校の先生で環境問題に係
わってみえる伴先生と、オンブズマン岡崎のメンバーに引き連れられて、ダム湖のほ
とりへ。ここで水質検査と投網による魚類の調査。水質で目立ったのは、植物性プラ
ンクトンの増殖を物語る残存酸素量で8.9と高い水準(よろしくない)。そして投網に
かかってきたのは、ほかならぬ『ブラックバス』の稚魚だった。今や日本の津々浦々、
池や湖ができるとすぐにブラックバスがアングラーたちによって移殖されてしまう。
これはほんとに困ったことなのだけれど、ブラックバスの稚魚たちはダムからの放流
水にのって下流へと移動する。ここで間違いなく起こるのは、在来の魚類の駆逐とい
うこと。これが上流から起こってしまうのだからたまらない。下流ではレッドデータ
ブックの筆頭である、『ウシモツゴ』や『イタセンパラ』(男川では報告されていませ
ん)『ネコギギ』(男川にいる)などの魚類が一気に姿を消しゆく。下流の男川では、
バスに食い尽くされてしまうというので、鮎の放流さえ縮小される始末。
雨山ダムに近接する工業団地用地(7年前も見学。この用地に出来るであろう工場
への工業用水の確保ももくろみに有り、雨山ダムが建設されたこともあるのだけれど
なんと馬鹿な話、ここには一件の入居もなく、ただ山中に忽然と広大なススキヶ原を
わびしくも秋の風にさらすばかり。数十億円もの無駄金が投じられた、と思うと腹が
立つ。
ダムは洪水を防ぐのであれば、水を溜めるわけにゆかず、利水のためには満水にし
なければならない。両方の目的を満たすダムなどあるはずもないのに、ダム建設の目
的にはいつもその両方の文句がうたわれる。そしてさらに下流にその16倍以上もある
意義の薄い男川ダムの建設が決定されている。

11月例会のお知らせ
11月8日(金)午後7時30分
「市民オンブズ岡崎」事務所
11月22日(金)午後7時30分
「市民オンブズ岡崎」事務所

11月は政務調査費の分析が中心になります。その他の問題を提起されたい方は
ご連絡ください。連絡先 渡邉研治 電話・FAX(0564) 52-7154

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