2005年度岡崎市議会議員政務調査費の支出に関する市民監査報告

2007年4月23日

岡崎市長殿

岡崎市議会議長殿

岡崎市議会議員殿

 

岡崎市伝馬通2丁目33千賀ビル3F  

市民オンブズ岡崎(代表 渡邉研治)  

                        FAX(0564)25−9667

                        TEL(0564)52−7154(渡邉)

 

1.はじめに 

今回も岡崎市議会政務調査費を調査しました。対象は2005年度の政務調査費の支出です。各会派から報告された内訳は次のようになっていました。

 

項目

交付額

研究研修費

調査旅費

資料作成費

資料購入費

広報費

広聴費

交通通信費

その他の経費

支出合計

残余の額

会派

 

自民清風会

14,760,000

1,640,892

6,457,590

1,223,719

0

0

0

5,281,403

761,464

15,365,068

-605,068

ゆうあい21

7,200,000

0

3,870,110

170,310

341,154

0

0

2,884,068

0

7,265,642

-65,642

公明党

2,880,000

104,080

1,008,060

662,172

55,520

0

0

1,066,200

0

2,896,032

-16,032

日本共産党

2,160,000

39,360

124,755

321,066

458,198

471,555

0

323,277

0

1,738,211

421,789

民主クラブ

1,440,000

140,580

207,800

79,144

223,576

0

100,000

480,000

0

1,231,100

208,900

柵木 誠

720,000

0

102,940

63,350

9,600

0

0

299,220

0

475,110

244,890

大原昌幸

720,000

164,100

0

24,480

8,400

0

0

200,000

0

396,980

323,020

 ところで、政務調査費については、2004年10月に札幌高等裁判所で注目すべき判決が出されました。札幌高裁は、会派にのみ支給する、と規定されていた札幌の政務調査費条例の解釈に関して、会派の政務調査以外の目的での支出は違法であるとする判断を下し、使途について立証しなかった会派に政務調査費の返還を命じたのです。この判決は、条例が「政務調査費を会派に支給する」となっている場合には、当該政務調査費が仮に議員個人の資質をたかめるものに使われていたとしても、会派の政務調査活動に使っていない場合には違法だとした点で、「政務調査費が議員の第二給与だ」という傾向に歯止めをかけるものになっています。

今回はこの判決例も念頭において調査をしました。

 

2.旅行費用のうち特別車両料金の支出問題について

研究研修費及び調査旅費における交通費は本来実費弁償であるべきで、特別車両(グリーン車)料金の計上については、航空賃と同じように実際に利用したことを示す領収書等の添付を必要とするよう改めるべきです。一律に計上するのは利用しない者にとって不当利得です。また、新幹線等特急料金にはそもそも特別車両でなくても通常指定席料金が含まれていますから、席の確保はできます。特権意識で利用しているとしたらそれも問題ではないでしょうか。

 

3.交通通信費のうちガソリン、電話代について

以前から指摘しているとおり、それぞれの利用について個々人により使用量や支払額等が著しく異なるにもかかわらず、領収書や使用明細書など根拠となるものを示すことなく一律に計上するのは利用額に達しない者にとって不当利得となります。議員としての政務調査に要した経費と個人として利用した額が分離できない場合一定の案分は必要と考えますが、自民清風会、ゆうあい21、民主クラブ、公明党、柵木氏には再考を求めます。

 

4.調査旅費について

(1)    多人数で行う視察が多すぎる

 相変わらず多人数で行う視察が目立ちます。今や高等学校の修学旅行ですら、興味関心を共有できる少人数のグループで関心の高いところを見学するようにしています。各会派も事前に十分な下調べを行い、2人位の少人数で視察を実施すれば、より多くの資料を集めることができるはずです。多人数での視察はみすみすそのチャンスを逃します。視察旅行については、そうした点から指摘してあります。

多人数で視察をする理由について「調査内容に共通認識が必要」との理由からかも知れませんが、問題意識があるからこそ議員になったはずですから、視察も一人でできない、などという程度の社会性や問題意識しかもたない人が議員になっているとすれば、それ自体問題です。私たちからみれば、多人数での視察は単なる旅行か、行き先が一人では見つけられない議員さんの「救済」視察ではないか、という気がします。視察先が思いつかない場合には、視察をする必要はありません。多人数での視察から脱却していただきたいと考えます。

 

(2)必然性が感じられない視察

そこに行く必然性が見られない、という傾向は複数の会派に共通する疑問です。政務調査費を用いて行う視察ですから、そこに行って参考になった、というレベルのものでは足りず、具体的な会派(会派に属さない場合は議員)の調査活動のためのものでなければならない筈です。調査活動のための適切な視察先がなければ、特に視察をする必要もないのです。いままで視察報告書が添付されていなかったことを考えれば、情報公開することになった点は評価しますが、まだ、政務調査費がでるのだから使わないと損だ、という発想から抜け切れていないように思えます。

政務調査費でどこへ、何を視察目的として出かけたか、という記録は、その議員や会派の問題意識の深さや調査能力を示すものと思えます。集団での視察しかできない議員や会派は調査能力がないことを示しているのではないかと思えますし、観光旅行としか思えない視察をしている議員は市政に対する問題意識の低さを示しているといって差し支えないと思います。

 

5.各会派についての問題点

(1)自民清風会

ア 研修研究費について

今回も自民清風会の勉強会と称して毎月夕食会または朝食会を開き、一人あたり3500円を目処に研修研究費として支出し、合計1,640,892円使っています。会議なら昼間に公共施設の会議室を使えばいいのであって、わざわざ料理屋に夕方から集まって勉強会を持つ必要はないと考えます。会派の懇親を目的にしているといわざるを得ません。また、岡崎ニューグランドホテルで早朝に朝食会(5月、8月、11月)を開いていますが、これは他の勉強会と性格を異にしているように思われますが、何を目的にしているのでしょう。また、2月21日は「うを勝」に37,500円(1,500円×25名分)支払い、同日「魚信」で二度目の会合を持っていますが、これはどのような理由なのでしょう。

領収日(支払証明日)

支出金額

支出先

支出内訳

2005/4/21

66,500

竹生

会派勉強会会議費3500×19

2005/5/23

54,285

岡崎ニューグランドホテル

5/13分朝食会議

2005/5/24

66,500

みなみ

平成17年度5月勉強会費

2005/6/16

66,500

竹生

6月勉強会費3500×19

2005/7/26

66,500

7月勉強会費3500×19

2005/8/24

66,500

いしかわ

8月勉強会費3500×19

2005/9/21

66,500

魚信

9月勉強会費3500×19

2005/9/30

47,932

岡崎ニューグランドホテル

8/26会議代として

2005/10/26

66,500

宮岡

食事代3500×19(10月勉強会)

2005/11/15

66,500

魚清

勉強会食事代

2005/12/1

54,795

岡崎ニューグランドホテル

11/22食事代 勉強会(朝食会)

2005/12/14

66,500

竹生

平成17年度12月勉強会費(19名)3500×19

2006/2/21

80,500

魚信

平成18年2月度勉強会(23名)3500×23

2006/2/21

37,500

うを勝

2月会議費(1500円×25)

 

イ 調査旅費

自民清風会の支出のうち、調査旅費にかかる経費が政務調査費の約半分となっています。そのうち、3名以上の複数で視察されている旅行が殆どです。60万円余の不足額を計上していますが、これらを少人数で視察するようにすれば充分足りると言えるのではないでしょうか。

列記すれば以下のようになります。

l         4月19日〜20日群馬県館林市、福島県熱塩加納村に新海正春氏はじめ4名(349,150円)

l         4月25日〜26日大阪府堺市、京都府精華町に柴田泉氏はじめ8名(334,800円)

l         5月9日〜12日千葉県千葉市、新潟県新潟市、上越市、長野県長野市に近藤隆志はじめ6名(近藤氏はじめ4名は千葉市、新潟市、上越市を、小野政明氏はこの3市に長野市を追加し、中根義金氏は新潟市、上越市、長野市を視察)(計521,960円)

l         6月27日〜29日愛媛県久万高原町、香川県善通寺市、広島県安芸高田市に柴田和泉氏はじめ4名 (492,800円)

l         7月4日〜6日練馬区、山梨県竜王市、長野県南牧市に野村康治氏はじめ4名(279,440円)

l         8月17日〜19日高知県高知市、香川県綾上町、高松市に山本雅宏氏はじめ7名(加納吉久氏は高知市のみ)(584,590円)

l         10月31日〜11月2日長崎県大村市、佐世保市に新海正春氏はじめ9名(近藤隆志氏はじめ3名は11月1日まで)(849,990円)

l         11月29日〜30日石川県金沢市、長野県松本市に近藤隆志氏はじめ3名(149,520円)

l         12月21日〜22日山梨県甲府市、足立区に小野政明氏はじめ3名(154,140円)

l         1月12日〜13日大分県中津市、別府市に小野政明氏はじめ8名(579,280円)

l         2月2日〜3日神奈川県相模原市、三重県四日市市に加納吉久氏はじめ3名(202,480円)

l         2月13日〜15日広島県福山市、廿日市市、熊本県熊本市に澤豊氏はじめ8名(828,410円)

l         2月15日〜16日兵庫県西宮市、岡山県笠岡市、広島県尾道市に新海正春氏はじめ3名(183,030円)

l         2月22日〜23日神奈川県秦野市、横浜市に安形光征氏はじめ6名(283,440円)

ウ 資料作成費

8月8日にナムコネットショップでプロジェクター298,000円、スクリーン113,000円を購入されています。先の名古屋地裁で会派の承継を認められた当時の自民新風会が平成16年9月18日に有限会社キッズで346,290円のプロジェクターを購入しています。一つの会派で2台のプロジェクターは必要ありません。先に購入したものは当時自民新風会に所属した当該会派の議員が私物化していると思われます。この返還を求めます。

また、11月8日に1台(36,482円)、11月21日に1台(49,000円)、12月28日に1台(88,000円)1月25日に1台(64,890円)、2月16日に1台(40,800円)デジタルカメラ一式づつ購入していますが、仮に議員個人必要なものとして使われていたとしても、会派の政務調査活動に使っていない場合には違法となります。前年度までに購入していたデジタルカメラ数量などを勘案するとなぜ必要になるのか説明がなされるべきだと思われます。

エ 交通通信費

プロバイダー使用料として481,403円支出計上していますが、会派人数で割り切れない数字です。具体的に個人別明細を示さなければ正当な支出であるか明確になりません。個人別明細が必要です。

 

(2)ゆうあい21

ア 調査旅費

ゆうあい21の支出のうち、調査旅費にかかる経費が政務調査費の半分以上となっています。そのうち、3名以上の複数で視察されている旅行が多くありました。6万5千円余の不足額を計上していますが、これらを少人数で視察するようにすれば充分足りると言えるのではないでしょうか。

列記すれば以下のようになります。

l       5月9日〜11日香川県さぬき市、観音寺市、愛媛県松山市米村賢一氏はじめ4名(356,240円)

l       5月11日〜13日宮崎県宮崎市、鹿児島県指宿市、熊本県水俣市に岡崎冨雄氏はじめ4名(414,360円)

l       7月4日〜5日練馬区、山梨県竜王市に原田範次氏が自民清風会ほかの5名と視察(51,490円)

l       8月17日〜19日福井県小浜市、石川県輪島市、富山県新湊市に岡崎冨雄氏はじめ4名(294,480円)

l       8月16日〜18日世田谷区、品川区、神奈川県川崎市に内藤誠氏はじめ3名(203,520円)

l       10月5日〜7日香川県高松市で行われた「全国都市問題会議」に10名(米村賢一はじめ2名は6日〜7日)(795,440円)

l       10月11日〜13日広島県広島市、山口県柳井市、広島県呉市に清水克美氏はじめ3名(三宅健司氏は12日まで)(225,140円)

l       12月21日〜22日埼玉県秩父市、東京都八王子市に岡崎冨雄氏はじめ3名(149,640円)

l       12月21日〜22日神奈川県横須賀市、新宿区に原田範次氏はじめ4名(194,640円)

l       2月7日〜9日北海道苫小牧市、室蘭市、函館市に岡崎冨雄氏はじめ5名(529,400円)

l       2月8日〜10日京都府亀岡市、大阪府岸和田市、高槻市に原田範次氏はじめ4名(248,840円)

なお、7月4日〜6日練馬区、山梨県竜王市に原田範次氏が自民清風会他の5名と視察していますが、他の会派の方と仲良しクラブで連れ立って旅行されるのは、会派の政策形成のための視察とは言い難い。

イ 資料作成費

名刺台紙代として19,170円の支出がありますが、利用目的が議員個人名の名刺として利用されると考えられます。個人に帰するものは個人負担を原則とすべきです。

ウ 交通通信費

プロバイダー使用料として484,068円支出計上していますが、会派人数で割り切れない数字です。具体的に個人別明細を示さなければ正当な支出であるか明確になりません。個人別明細が必要です。

 

(3)公明党

ア 資料作成費

11月8日にパソコン回線調査として6,500円の支出がありました。11月10日にはパソコン及び周辺機器として370,275円の支出があり、内容としては3人分のノートパソコンとラン回線用付属品と思われます。さらに、同日パソコン、プリンター、サポート代として211,358円支出した点については会派全員にノートパソコンを購入したということで、いかがなものでしょうか。内訳として工事代金110,200円を計上してあり、工事箇所が会派控え室であるのか、自宅であるのか気になるところです。

交通通信費

また、自宅であるならば回線速度等の変更に伴ってプロバイダー代金の変化があるはずで、交通通信費に変化があってしかるべきだと考えますが、契約料に変化がないのはどうしてでしょうか。説明が必要です。

坂井一志氏はじめ3名はMICSを、井手瀬絹子氏はフレッツISDNとプロバイダーとして契約しており、12ヶ月変わることがありません。しかし、イで指摘したように工事代金を支払った者の契約は変更しているものと思料されるので、12ヶ月一律に支払っているのは問題です。説明が必要です。

 

(4)日本共産党岡崎市議団

  資料作成費

商工新聞代4,800円を12ヶ月2部のうち1部4,800円、中日新聞4月から9月まで29,100円、同4月から3月まで36,000円の2部を購読されているが、真伝専売所分29,100円は個人宅に配達されたものと思料されます。会派での購入というばあい、会派控え室に1部で良いと考えます。

 

(5)民主クラブ

7月4日〜6日練馬区、山梨県竜王市、長野県南牧村に中根薫氏が自民清風会他の5名と視察(69860円)していますが、他の会派の方と仲良しクラブで連れ立って旅行されるのは、会派の政策形成のための視察とは言い難い。

 

(6)柵木誠

9月18日にデジタルカメラを購入しているが、以前会派に所属していた時期に入手していなかったでしょうか。視察について、記念館等の視察が従前より他の会派よりも多く、視察報告書をみても余り内容があるといえません。特に相手方行政機関との接触のない視察については観光ではないかとの市民からの疑念を持たれないために、より詳しい報告が必要です。

 

(7)大原昌幸

おおむね適正な支出がされていると考えます。

 

6.むすびにかえて

政務調査費を受領できるというのは既得権益ではなく、納税者から市政に調査内容を具体的に生かすよう付託を受けているということなのです。

 今回の調査でも、残念ながら政務調査費の支出は税金の無駄使いなのではないかと思えるものが、特に多数の議員を擁する会派に目立ちました。問題点を指摘したものについては、改善されることを求めます。

また、返還を求めたものについては、会派で調査をしたうえで弁明若しくは当該の議員から市に相当額を返還されるよう求めます。問題点を指摘したものについて、反論があるものについては、ご意見をお聞かせください。