市民オンブズ岡崎

No.45  2005.10.13
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第12回市民オンブズマン全国大会報告
 今年も9月10日〜11日に別府市で開かれました。
 全体会
 基調報告の中でこの1年の活動が紹介された。まず無駄な公共事業の象徴として関東の1都5県の住民が昨年9月に一斉住民監査請求を行い、いずれも棄却されたが、12月には「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」を結成して訴訟を開始し、計画をストップする市民運動を取り組んでいくことが報告された。つづいて、警察の裏金問題の追及については、特定の県で行われているのではなく、全国的におこなわれている。それを情報公開請求をして明らかにすること、そして内部告発をした警察官を支援するネットワークができたことが報告された。
 過去10年にわたって行われてきた情報公開度ランキングの成果として、交際費の公開など公費支出の改善が相当見られてきたが、昨年発覚した大阪市の職員互助会を通した職員厚遇問題にしても、情報が公開されない場所で長期にわたって堂々と不正、不当な支出がなされている現状をみるにつけ、今大会では無駄な公金支出を防ぎ、政策形成に市民が携わるよりよい情報公開のうねりを作っていこうと報告された。
 ついで全国市民オンブズマン連絡会議のランキング10年の活動がパワーポイントを使って報告された。全国ランキングでは宮城県や岩手県が上位に、九州各県が下位にランクされているとの発表で、大会を開催した大分県も含め、九州のオンブズ組織の奮起を促した。全体報告の中で、気になったことは「指定管理者制度」だ。2003年の地方自治法の改正で、公共施設の管理運営については今まで地方自治体か当該自治体が2分の1出資した法人にのみ管理することが決められていた施設を、今後は民間団体が管理できるようになって、すでにその動きは始まっているということだった。その結果、身近な公共施設の運営についての情報が、行政機関ではないとして市民に公開されない事態が生まれてくる心配が出てきた。指定管理者が管理する施設は税金で設立されたのであり、管理が適切に行われているか否かについて市民に公開される必要がある。全国的には指定管理者を条例で情報公開の実施機関にしているところもあるが、多くの自治体ではなんら取り決めないで、運営委託しているようだ。少なくとも、各自治体は指定管理者との協定書の中で、「市民の請求のあったときは文書を提出する義務がある」との努力義務規定を設けるよう働きかけていく必要があるとの報告があった。
 2006年にはほとんどの施設が指定管理者に管理委託されるとのこと。地元の自治体へ情報公開義務の徹底を働きかけなければと宿題をもらった気分だった。
 ついで記念公演として、長野県前副出納長松葉謙三氏から「めざましい長野県の県政改革」の話があった。政官財の癒着を壊して真の県民のための県政にするには利権を奪う改革が必要であった。「脱ダム宣言」であり、財政改革、入札改革であった。ダム建設は国の負担が50%、交付金で22.5%、県の負担額が27.5%で地元負担が少ないように見えるが、業者の受注額を見ると県外のJVが76%持って行ってしまい、地元業者に入るのは24%しかない。ということは地元資本が中央に吸い上げられる構造になっている。地元振興にはならないという。
 長野県も以前は他の自治体と同じように入札率が95%ぐらいだったが、談合をなくすため、一般競争入札にした。施行について信頼度チェックができなかった昨年は入札率75%ぐらいになったが工事のクレームが増え、その反省をふまえ今年は工事管理方法を改善して入札をしたところ、83%となったがこの程度が適正であろうということだった。何しろ談合をなくすためには、一般競争入札が良いということだった。
 次は愛媛県警現職警察官の裏金問題についての話だった。
 警察の裏金工作は捜査協力費である報償費だけではない。出張旅費でも裏金が作られている。それも、捜査協力費では領収書が必要であるが、旅費には必要でないのでこちらの方が多く裏金になっているということだった。
 捜査協力費(報償費)の予算が国から85億円、県が70億円だった(99%裏金)のが今年?は国からは25億円、県が25億円に減額されており、歳出が3分の1になったことからもわかるだろうということだった。
 彼は1月28日に記者会見をしたところ、すぐに配転があり道路司令室勤務になったということだ。他の職員の前には機器があり、外部からの連絡に対応できるのだが、彼には机とポットだけがあるという。窓際族になった。本俸は下がらないが対外的な活動がなくなり各種の手当てがなくなった。実質的な給料は大きく下がった。それから庁内で彼と話す者がいなくなった。彼と面と向かって話せる県警職員は3名のみだという。
それでも彼が退職せずにがんばれるのは、伴侶を亡くし独身でいること、支えてくれる友人がいること、そして全国の支援ネットワークの弁護士の皆さんが支えてくれるからだと言っていた。また、彼が告発できたのは一度も不正に手を染めていないからだという。2人目の告発者がでるかどうかわからないと言ったことが印象的だった。
 ついで各地報告があって、福岡県庁で平成8年に58億円の公金の不正が発覚し、内48億円が職員に使われた。裏帳簿が13冊もあったということだった。また、大阪市においては市役所職員に支給されていたスーツ(胸ポケットにあるosaka cityのロゴはタブを折りかえすと見えなくなるもの)に38億円、市役所全体のカラ残業38億円の無駄遣いがあったということだった。また生命共済制度という生命保険会社を使ったマネーロンダリングがおこなわれて、公費補助144億円がプールされていた。宮城、北海道からは警察の捜査報償費について報告があり、石川県津幡市の大型公共工事(生涯学習施設入札)で談合があり99.2%で落札、公正取引委員会や警察への告発となった。和歌山県では県の工事事務所長の公金横領が発覚、住民監査請求直後に県が入札業者に損害賠償請求をして、入札業者が請求額全額を県に返還したというなど10本ほど報告があり、1日目の全体会議は終わった。2日目は6つの分科会(議会改革、公共事業、談合・入札改革、包括外部監査、情報公開、警察問題)に分かれて行われた。
 利水計画が失われて断念しない男川ダム?
 愛知県のホームページを検索していたら、岡崎市と合併をする額田町の利水計画からの離脱によって必要でなくなった男川ダム建設を捨てきれない愛知県は今年7月29日に新たに河川整備計画流域委員会で乙川圏域河川整備計画の会合を開いていた。以下、その記録である。

第14回愛知県河川整備計画流域委員会議事要旨
日時 平成17年7月29日(金)13時55分〜18時15分
場所 栄ガスビル5階会議室
議題
1)乙川圏域河川整備計画(第1回)について
 ・圏域・河川の概況について
 ・現行河川整備計画の概要について
 ・河川整備計画見直しの背景について
 ・今後の予定について
 ・質疑応答
(1)流域委員会の協議範囲について
 (委員質問)
 ・「本川のみの河川整備から」という記述について、本川は乙川という定義だが、支 川の鳥川も書いてあるのはどう考えたらよいのか。
 (事務局回答)
 ・平成9年の河川法改正以降、河川整備計画に位置づけられないと、ダム建設事業を 進めることができない。このため、河川整備計画にダムに関連する鳥川も含めている。
 (委員質問)
 ・今回の流域委員会は、現行河川整備計画の見直しが必要とのことだが、どの程度の ことが法律的に可能か。
 (事務局回答)
 ・一点目は治水施設のレイアウト、つまり、洪水処理方法の選定である。男川ダムを  再度治水ダムとして位置づけるのかどうかが議論の中心になる。
 ・もう一点は、支川の整備を検討することである。
 (委員質問)
 ・本川のみの河川整備から、圏域の整備へ見直すとはどういうことか、どこが圏域と  してなのか。新川の流域対策のような河道外のことではなく、もっと細かい支川も扱  うという理解でよいか。
 (事務局回答)
 ・法律的にダムを位置づける計画がないといけない。このため、前回はダムに関係す  る鳥川と本川の男川合流点から下流区間のみを切り出して河川整備計画をつくった。  圏域への見直しとは、本川上流や鉢地川、山綱川、竜泉寺川などの支川も含めて計画  をつくることである。
 ・法律は川しか対象に扱えない。すべての河川を対象とするという意味での圏域であ  る。
 (委員質問)
 ・環境に関してワークショップ形式で議論し、あるいは地域の活動としての成果があ  ると思うが、これも見直し課題になるのか。
 (事務局回答)
 ・現行河川整備計画を生かした形で、その理念は継承する。
 ・この3年間で市民活動など、個々の場所で様々な成果が出ている。個々の場所の活  動、新しい知見は取り入れて、よりよいものにしていきたい。
 (委員長質問)
 ・現行河川整備計画のある部分は合わなくなったとこだけ見直すのではない。現況と  課題が整理され、県で考える見直し必要部分の他は必要ないかとか議論することでよ  いか。
 (事務局回答)
 ・その考えで結構である。
 (委員長意見)
 ・従来の河川整備計画を全く無視できないが、全般的に見直しを進めていけばいいの  か。
 (事務局回答)
 ・社会状況の変化などに対して見直しを行うわけでおり、要因にあわせて直さなけれ  ばならない部分は変えていく。また、足りない部分は、さらに充実させる考え方であ  る。
 (委員質問)
 ・圏域内では、鉢地川など名鉄と国道1号沿いに資産が多い。国道1号の方が浸水実  績も多い。浸水封策をしっかりやっていくのか。
 (事務局回答)
 ・男川ダムをつくる目的が、岡崎市で浸水を起こさないようにすること から始めて  いる。その方針は変えるつもりはない。
 ・見直しについて、要因がはっきりしていれば見直すべきだといった議論はしても構  わないと考えている。
(2)矢作川河川整備計画との整合について(略)
(3)男川ダム建設計画について
 (委員質問)
 ・男川ダムの洪水調節に関して資料133ぺ一ジに二つ絵があり、右図は現行整備計画  の図であると理解できるが、左図はいつの計画で、位置づけはどういうものなのか。
 (事務局回答)
 ・既定計画である工事実施基本計画に基づく乙川の1/100将来計画である。
 (委員質問)
 ・三つのダムを含めて洪水調節するということだが、資料の中に記述はあるのか。
 (事務局回答)
 ・三つのダムの位置については、前回流域委員会でも未確定で、公にしていないため、 控えさせて頂きたい。
 (委員質問)
 ・岡崎市と額田町の合併を受け、男川ダムからの利水撤退の方針が明らかになったが、 費用負担等の問題点を、県としてどう考えているのか。
 (事務局回答)
 ・現計画で治水と利水の多目的ダムとして位置づけられていたが、治水だけのダムと  して位置づけできるか、さらに見直しが必要である。
 ・ダム、遊水地があり、その組合せを考え、最適案を議論し、地元との議論を並行的  に進めながら結論を出していきたい。
(5)遊水地建設計画について
 (委員意見)
 ・遊水地に関して、場所、地形、諾元など、もう少し詳細のわかる情報を提供して頂  きたい。
 (委員意見)
 ・遊水地について、いろいろ考える余地があるのではないか。
(6)環境について
 (委員質問)
 ・多自然型川づくりの整備状況が示されているが、多自然型川づくりも往々にしてつ  くりっ放しであることが多い。こうした川づ<りの評価・モニタリング等が実施中であ るのか。何らかの結果が出ているのか。
 (事務局回答)
 ・現在、モニタリング調査等はしていない。検討中でもない。
 ・平成2年度から多自然型川lづくりを全県的に進めており.これまで114河川で実施  してきた。どこにどういう目的で、どういう多自然型をやったのか、まず台帳づくり  から始めようとしている。
 (委員意見)
 ・河川整備計画の見直しで、環境配慮に関しても見直し、もしくは、より多くを取り  込む必要があるのではないか。ネコギギを中心とした詳細な調査がされており、今後  の河川整備計画の中に調査結果を.何らかの形で取り入れることができるのではない  か。
 (委員意見)
 ・利水ダムがなくなったが、環境用水という部分は残っている。この撤退というのは  どれくらいの影響なのか、この機会に環墳面の見直しもあるのではないか。代替案が  出てくる可能性はあるのではないか。
(7)土地利用について(略)
(8)その他
 (委員質問)
 ・「流域」と「圏域」とは、何か意味があって使い分けているのか。
 (事務局回答)・河川整備計画は、水系単位でつくるのが原則であるが、矢作川水系は 広範囲にわたるため、下流圏域・乙川圏域・中流圏域・上流圏域と、四つのブロック  に分け、名前を圏域という名前で称し、作業を進めている。

 このように、一度死んだダムをずっと以前に計画した乙川の1/100年の大洪水を防ぐという3つのダム計画を捨てないため、いろいろ河川整備メニューをそろえて潜り込ませてくる。今回の流域委員会がどのような位置づけなのか検討していきたい。
 

 
市民オンブズ岡崎の今後の予定
 
 県内オンブズ連絡会
      10月22日(土)午後2時〜
      会場は市民オンブズ岡崎事務所です。
   
市民オンブズ岡崎例会
      10月27日(木)午後7時30分〜
 
        11月10日(木)午後7時30分〜
        11月24日(木)午後7時30分〜

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