市民オンブズ岡崎

No.37  2004.7.6
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政務調査費で提訴に踏み切る!
 
 2001年度政務調査費の監査請求が却下され、再び2002年度の政務調査費監査請求も却下されました。
 昨年12月7日に私たちの市民監査報告を各会派に示し、是正を求めましたが、末梢的な訂正には答えたけれど、基本的な誤りについては何ら反省するところがありませんでした。そこで監査請求をしたのですが、前述のとおり却下されました。
 そこで考えられるのは、30日以内の提訴、マスコミへの意見表明、街頭でのアピール行動などでした。許せないという気持ちと、それに比して裁判に向ける労力の大きさがオンブズ活動に及ぼす悪影響、そうしたものを考えるとなかなか結論は出ませんでした。2回の会議を経て、代表の渡邉に一任されました。
 そして期限ぎりぎりの6月17日提訴することに決めました。しかし、弁護士を代理人として争うことは「市民オンブズ岡崎」の活動に負担を掛けることになりますので、負担が掛からないよう本人訴訟という形を取ることにしました。
 今後裁判日程もおしらせしますので、お時間のある方は傍聴に来てください。先日の県内オンブズ連絡会では、行政訴訟の場合、本題に入る前に被告から「本案前の抗弁」がなされ、それに対応できず却下される可能性も高いと言われました。本題に入れるかが第1関門だそうです。以下は訴状です。

岡崎市議会政務調査費返還請求事件
訴      状
名古屋地方裁判所 御中
2004年6月17日
原告本人   渡  邉  研  治 
〒444―0813 岡崎市羽根町字鰻池97番地2(送達場所)
           原  告   渡  邉  研  治
 
〒444―0034 岡崎市十王町2丁目9番地
          被告 岡崎市長   柴  田  紘  一
 
請求の趣旨
第1 被告は、
1 自民新風会に対して、金3,033,920円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
2 自民党市議団に対して、金2,378,919円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
3 ゆうあい
21に対して金565,000円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
4 公明党に対して金136,285円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
5 日本共産党岡崎市議団に対して金111,711円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
6 民主クラブに対して金390,935円及びこれに対する平成15年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を、
それぞれ返還させよ。
第2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
請求の原因
第1 当事者
 1 原告は愛知県岡崎市の住民である。
 2 被告は愛知県岡崎市の市長である。
 3 原告が被告に対し、不当利得を返還させることを求める相手方は、岡崎市議会議員が共通の政治目的を達成するために結成している6つの会派(自民新風会、自民党市議団、ゆうあい21、公明党、共産党市議団、民主クラブ)であり、いずれも法人格のない団体である。
第2 岡崎市における政務調査費の交付制度について
 1 地方自治法第100条第13項は、普通地方公共団体が、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる旨を定めている。
 2 岡崎市議会は、地方自治法の上記規定に基づき、平成13年3月23日に「岡崎市議会政務調査費の交付に関する条例」(平成13年条例第4号。以下、単に「条例」という)を制定し、この条例は平成13年3月23日4月1日から施行された(甲第1号証)。
 3 この条例によれば、交付される政務調査費の額は議員1人につき年額72万円とされ、会派にあってはその額に当該会派に属する議員の数を乗じた金額とされている(甲1 第3条)。
 4 また、条例は第5条及び「別表」において政務調査費の使途基準を具体的に定めている(なお、「別表」については、平成15年6月23日条例第27号により改正され、「広報費」及び「交通通信費」が追加された。甲第2号証 条例の別表)。
第3 平成14年度の政務調査費の交付について
被告は、各会派に対して平成14年度の政務調査費として下記の金員を交付した(交付時期は、平成14年4月30日と同年10月31日に、年額の半額ずつを交付した)。
@ 自民新風会(所属議員13名)  金936万円
A 自民党市議団(所属議員8名)  金576万円
B ゆうあい21(所属議員9名)  金648万円
C 公明党市議団(所属議員4名)  金288万円
D 共産党市議団(所属議員3名)  金216万円
E 民主クラブ(所属議員2名)   金144万円
第4 各会派の違法もしくは不当な支出について
1 概括的な問題点
会派の政務調査費の使途については、前記のとおり条例により厳しい制限が付されている。ところが、各会派の平成14年度の政務調査費の使途を検討すると、まず概括的に次のような問題点を指摘することができる。
(1)岡崎市から各会派に対して、すでにパーソナル・コンピューターが1台(5人以上の会派については2台)、プリンターが1台支給されているにもかかわらず、前年度(平成13年度)の購入台数を勘案すれば、個人が利用するとしても会派人数を超える台数を購入している会派があること(公明党、民主クラブ)。
(2)また、原告が所属する市民団体である「市民オンブズ岡崎」が平成13年度の政務調査費の使途について「沖縄県や九州などの観光地への視察が目立って多い」と指摘したところ、平成14年度には東北、北海道への視察が増えた。特に自民党市議団にあっては「町並の視察」との理由を挙げているが、視察先の自治体の役場に訪問もしていない。これでは調査研究のための視察とは考えづらく、一般の観光旅行と何ら変わらない。
(3)条例は広聴費の支出は認めているが、広報費は認めていないにもかかわらず、広報のための支出が見られる(前記のとおり、平成15年6月になって条例第27号による改正で「広報費」が追加された)。
その他、領収書の信憑性が疑われる支出もあった。
2 各会派の平成14年度の使途の具体的検討
  各会派の平成14年度の使途を具体的に検討すると、次のように違法もしくは不当な支出が認められる。
(1)【自民新風会】
@ 調査旅費
平成13年度と同様に、あいかわらず九州、東北、北海道方面へ多人数での視察が多くあり、原告が岡崎市議会事務局を通して視察報告書のコピーの交付を求めても拒否された。
札幌、函館に5名、秋田県大曲市、角館町、宮城県白石市に4名、北海道歌志内市、札幌市、小樽市に4名、秋田市、小岩井農場、仙台市に4名、種子島のある鹿児島県西之表市へ6名、岡崎市に廃校を利用すべき事案があるのか、山梨県須玉町の下津金小学校への視察をしている。
これらに金2,608,220円の調査旅費を費やしているが、必要性も合理性もない不当な支出である。
A 資料作成費
前年(平成13年度)に7台ものデジタルカメラを購入したにもかかわらず、平成14年度も4台も購入し(218,610円)、さらにカメラ1台(27,090円)を購入している。岡崎市議会政務調査費交付取扱要領(以下「要領」という)では、私的な支出を政務調査費で賄うことまでは認めていない。個人の所有物となる物品の購入は不当な支出である。
B その他、平成14年度も電話代、ガソリン代の報告を支払証明書のみで済ましている点は実費弁償の趣旨とかけ離れている。特に市議会議長を務めた議員(平成14年4月から10月までは永田寛氏、同年11月から平成15年3月までは伊奈秀兼氏)は、在任中の出退勤、訪問地への移動などに岡崎市の公用車を使っており、また県外出張も多いことから、議員調査活動としてのガソリン代をほとんど使っていないにもかかわらず、他の議員と同額(180,000円)を受け取っているのは不当利得である。
C 以上の@ないしBの費用の合計は金3,033,920円である。
(2) 【自民党市議団】
@ 調査旅費
他の会派と比べても、九州、東北、北海道など遠方への視察が多い。さらに、訪問目的を考えても観光旅行とどこが違うのか明白でない。例えば、
イ、平成14年7月2〜4日の根室市、釧路市、帯広市(153,790円)への視察旅行は請求が1名分であるににもかかわらず8名での行動であった。同行の7名は一般行政視察をした同一会派議員等である。議会費から旅費が支出される一般行政視察(公務)に便乗する旅行は政務調査に資するためとは言えない。
ロ、同年8月12〜15日の釧路市、帯広市、千歳市(141,980円)への訪問は、訪問先の相手市に問い合わせたところ、訪問を受けた旨の接待記録が存在しなかった。よって、当該会派の上記視察は視察とは言えず、実態は観光旅行である。もしくは実際に視察すらされていない可能性がある。
ハ、同年7月9〜12日の群馬県館林市、足利市、妙義町、諏訪市(93,850円)は、訪問先がすべて美術館等であり、同年8月26〜29日の三重県阿児町、亀山市、岐阜県高山市(84,820円)も町並みの視察だと言うが、一般の観光旅行と変わるところがない。
ニ、同年10月1〜3日の函館市、千歳市、札幌市、小樽市(120,030円)(余市町は中止)も一般の観光旅行と変わるところがない。
ホ、同年10月22〜26日の北海道奥尻町、秋田県八竜町、山形県酒田市、新潟県村上市(372,420円)については、最初の訪問地奥尻町は地震災害地といえ、津波災害であって内陸部に位置する岡崎市の地震対策には参考にならない。
ヘ、同年10月28〜30日の宜野湾市、那覇市(92,370円)、11月28〜29日掛川市、御前崎町(28,060円)、平成15年1月8〜9日の宇都宮市(61,460円)、2月3〜6日の米子市、益田市、防府市(213,260円)、2月24〜26日の徳島市、北九州市(90,580円)、2月24〜26日の徳之島、名瀬市(139,820円)、2月24〜27日の米沢市、大館市、青森市、八戸市(126,520円)、3月26〜28日の網走市、北見市、旭川市(133,000円)、3月26〜28日の熊本県玉名市、指宿市(105,010円)、3月26〜28日の那覇市、沖縄市、福岡県前原市(120,610円)なども、観光巡りと推察される。
A 公聴費
平成14年4月10日〜15にかけて、当時の条例にない広報費(市政報告費)が4件あった。4月10日200,000円、11日25,200円、15日に18,239円と57,900円の2件である。そもそも条例に根拠のない支出だから違法な支出である。仮に違法ではないとしても、日をおかずに4件の領収書が存在すること自体が不当な支出を窺わせる証左である。
B 以上の@及びAの費用の合計は、金2,378,919円である。
(3) 【ゆうあい21】
 @ 視察旅費
平成14年7月22〜24日の5名(岡崎富雄、野澤幸治、清水克美、太田俊昭、三宅健司)は青森県六ヶ所村、盛岡市、江刺市に出かけている(565,000円)が、核燃リサイクル事業と岡崎市の関係が理解しがたく、その他の訪問地にしても目的が明白でない。観光をかねた親睦旅行と疑われても仕方ない。
(4) 【公明党】
 @ 調査旅費
愛知県防災ヘリコプター視察時の空港レストラン内での食事代(3,850円)は、会議を伴った飲食とはいえず、条例に違反する。また、旅費で日当を支出していないから許されるという弁解は条例の解釈を逸脱したものである。
A 資料作成費
平成14年5月26日に購入したプリンター(CD−RWと合わせて46,989円)は、会派にはすでに支給されており、CD−RWはその使用目的が政務調査と関係するとは思われない。また同年8月1日に更にプリンター1台(39,799円)を購入し、平成15年3月28日にもプリンター1台(USBハブと一緒で34,832円)を購入しているので、平成13年に購入した1台、市から提供されたプリンターを合わせて合計5台にもなり、会派議員4人では使いきれない。私的所有を目的とした違法な支出である。
また、平成14年10月31日にデジタルカメラ修理代金(7,875円)まで政務調査費から支払っている。同会派は前年に3台のデジカメを購入して個人所有ではないと主張していたが、その購入でさえ12月以降であり、商品の保証期間内である。修理代を負担する必要はないはずである。会派で購入したカメラではないから修理代金を支払ったものと推測され、政務調査費から支出すべきでない私的経費である。
B 資料購入費
絵本「雨」、「いないいないばあ」、「あかんべえ」(2,940円)などは政務調査とは全く関係のないものであり、不当な支出である。
 C 以上の@ないしBの費用の合計は、金136,285円である。
(5) 【日本共産党】
 @ その他の経費
平成14年5月29日の市議団ニュース(30,315円)、同年10月10日の市議団ニュース(81,396円)の発行費用を支払った。広報費を当時の条例上では計上していない以上、条例違反であり、違法支出である。
この費用の合計は、金111,711円である。
(6) 【民主クラブ】
@ 調査旅費
平成15年2月11日〜13日に中根薫議員が屋久島や鹿児島市を視察しているが(118,900円)、その視察内容は岡崎市の行政に生かされてはいない。また、同年3月26日〜27日に2名で松山市へ視察に出かけているが(128,440)、アイススケートリンクを廃止する方針を打ち出した岡崎市の将来計画に照らすと、ノンアイススケートリンクの視察は将来計画とは結びつかない無意味な視察である。
A 資料作成費
平成15年2月5日購入のプリンター(45,840円)は、会派に支給された1台、そして前年に購入した2台などの在庫を考えると、2人会派である民主クラブでは不要なものである。会派人数を超える台数の購入は不当な支出である。「要領」では私的経費は認めていない。同年3月1日購入のデジタルカメラ(50,190円)、3月30日のデジタルカメラ(47,565円)についても個人所有になるので、不当な支出である。
  B 以上の@及びAの費用の合計は、金390,935円である。
第5 監査請求
  原告は、本件に関して、平成16年3月23日付けで岡崎市監査委員に対し、地方自治法第242条に基づく監査請求を行ったところ(甲第6号証)、岡崎市監査委員は同年5月20日にこれを棄却する旨の通知を受けた(甲第7号証)。
第6 結 論
前記第4で指摘した、各会派が平成14年度の政務調査費から支出した金員は、「議員の調査研究に資するため必要な経費」とは言えず、違法もしくは不当な利得である。
よって、被告岡崎市長は各会派に対して、これらの不当利得金の返還を求める義務があるのにこれを怠っている。そこで、原告は被告に対して上記不当利得金及びこれに対する政務調査費の支出額が確定した日である平成15年3月31日から支払済みまで、年5分の割合による遅延損害金を各会派に返還させることを求めるため、本訴の提起に及ぶ。
 
 
証   拠   方   法
 1 甲第1号証  岡崎市議会政務調査費の交付に関する条例
 2 甲第2号証  改正された同条例の別表
 3 甲第3号証  岡崎市議会政務調査費交付取扱要領
 4 甲第4号証の1〜6
  平成14年度岡崎市議会政務調査費収支報告書(抜粋)
 5 甲第5号証の1〜6
  概算払精算書
 6 甲第6号証  岡崎市議会政務調査費の支出に関する職員措置請求書
 7 甲第7号証  岡崎市職員措置請求の監査結果について(通知)
   その他は、必要に応じて提出する。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
市民オンブズ岡崎の今後の活動
 
7月の例会等
 
7月14日(水)午後7時30分〜 例会
7月24日(土)午後3時〜    県内オンブズ政務調査費報告集会
              名古屋市女性会館
 
7月28日(水)午後7時30分〜 例会
 
8月の例会等
 
8月11日(水)午後7時30分〜 例会
 
8月18日(水)午後3時〜   政務調査費返還請求事件第1回公判
              名古屋地裁1101号廷
 
8月25日(水)午後7時30分〜 例会
 
8月28日(土)〜29日(日)全国市民オンブズ函館大会
(別紙案内書参照)
 

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