市民オンブズ岡崎

NO12 2001.8.31発行

海外労働事情調査とは名ばかり
労働組合等への便宜供与だ

 昨年12月連合愛知三河中地域協議会をはじめ3団体計10名と随行1名の合計11名が岡崎市の委託事業として「海外労働事情調査」と称して12月2日から9日の7日間カナダ・アメリカ旅行をしてきました。(報告書の一部を添付します)
 そこで、8月7日住民監査請求を行いました。
 その後わかったことですが、どういう構成員になっているのか判りませんが、参加団体の一つ(財)岡崎市勤労者共済会では今年も(勤続年数10年以上かつ会員期間3年以上を条件に)2名の参加者を会員の中から募集し、参加者には旅行費用の三分の一が岡崎市の委託金として支払われ、同共済会から10万円の助成が行なわれるということで、長期在会者への慰労旅行の意味合いが強いことがわかりました。
 同共済会の派遣目的でも「岡崎市内の事業所に従事する勤労者が、海外の労働事情を視察することにより国際的視野を広め、今後の職場環境の向上に資するため」としていて、岡崎市の労働行政の一助にするともなっていません。こんな事業に市民の税金が使われて良いはずがありません。
(岡崎市海外労働事情調査団住民監査請求)

市議会議員政務調査費のアンケートに
公明党や自民新風、及び自民党市議団(柵木氏を除く)回答せず

 県下12自治体の議員に行なった今回のアンケートに13名の回答(うち「ゆうあい21」は会派での回答でした)しか来ませんでした(別紙参照)。過去2度の一斉アンケートでは常に75%以上の回答をしていた岡崎市議会議員たちはどこへ行ったのでしょうか。ちなみに知立市はほぼ100%でした。選挙が過ぎれば市民への意思表明は必要ないとお考えなのでしょうか。
岡崎市議会の皆さんの回答と県下13自治体の回答結果を比較してみてください。
前回回答率一位だった岡崎市議会議員は今回8位に転落しました。

8月4/5日京都で全国オンブズマン大会が開かれる

 8月4日は公共事業委員会からの報告があり、空港・港湾・高速道路・ダムの4つの専門委員会から分析結果が発表された。
空港整備事業
 空港では第3種空港(地方空港)について報告された。離島を除き需要予想と実際の利用実績が出る16の空港について調査し、現在黒字である空港は出雲と富山空港のみであること。福井空港は定期路線がなく、利用なし。その他の空港で平成7年では秋田県大館能代をはじめ和歌山県南紀白浜、島根県石見は50%もない。これでは全く採算が取れません。しわ寄せは国民にぶつけられることになる。輸送手段としては約0.1%の輸送人員8791人しかないにもかかわらず、まだ静岡、神戸空港建設が計画されている。このどちらも地域住民からの強い反対運動が起こり、静岡では県民投票が予定されている(交通手段として新幹線が走っており、利用者が多く見込まなければいけない東京、大阪方面の人間が果たして、新幹線より利便性を持っていると考えるのか疑問である。)。神戸は現長野県知事田中氏が反対運動に関わっていたところ(近くに関西空港があり、同じように海を埋め立てて作る空港島方式であるが、経済的負担に見合う需要が見込めない。)だ。日本国中を航空機で移動することができるように計画された空港整備7ヵ年計画がバブル期のむだな公共投資であることが証明された。 
港湾整備事業
ついで港湾整備計画について報告された。第9次港湾整備7ヵ年計画によって、全国にコンテナ埠頭を整備することが計画された。しかし、福井港のように450億円以上投資されたのに、港湾計画の10%程度に過ぎないため「100億円の釣堀」と揶揄されているところもある。実際調査した48港のうち7港が計画の50%を下回っているという。更に全国的に見ても平成8年以降取扱貨物量はほとんど減少傾向にあることが統計上も明らかになった。
高速道路網整備事業
次が高速道路網。発表は神奈川県と千葉県を結ぶ東京アクアライン。計画交通量3万4千台に対して現状では1万1千台から2千台となっており採算性がない。しかし、日本道路公団は償還計画を見直し、既に償還がほとんど終わろうとしている京葉道路と一体にして賄おうとしている。それでも現在から8年後の2009年には計画交通量に達し、その後増えつづけるという幻想を捨てていない。また、本州と四国を結ぶ本州四国連絡道路公団は3本のルート(神戸・鳴門、児島・坂井、尾道・今治)とも計画交通量の7割も達成しておらず、政府が1兆8千億円し、これを50年間で返済する計画だが、会計検査院や行政監察局の調査でも債務超過状態であることを指摘している。
ダム建設事業
次にダムについて報告された。川の利水権は江戸時代以前から慣用利水権として現在でも三分の二は農業用水に用いられている。新たな利水権を得るためにはダムのような水資源開発を必要とした。国は第3次全国総合開発計画を策定した1978年に作成した「長期水需要計画」で1965年から1975年までの高度成長期の水需要増加率(159%)を前提に2000年までの水需要を想定した。現在各地で問題になっているダムの着工はこの時の計画がベースにある。さらに国土交通省は1999年6月に「ウォータープラン21」を発表し、実績の水需要を修正したがその後の水需要については相変わらず右肩上がりの増加予想を立てて、ダムの必要性を訴えている。しかし経済が減速したり、水を必要とする企業の自己努力によって水需要は減った。生活用水でみると、「長期水需要計画」の目標年度1990年では一人1日あたり消費量375リットルと予想し、「ウォータープラン21」では346リットルと修正予測をしたが、実績値では317リットルと9%ほどの誤差がでる。それを基にさらに2015年までの予想をしているので、需要が見込めないむだなダム建設を今も推し進めている。
公共事業は政治家の地元利益誘導とゼネコンとの癒着で一度計画が出来上がると採算性や実績とは関係なく進められてきた。ここらでストップさせようというアピールだった。
田中康夫長野県知事の講演
脱ダム宣言をした田中長野県知事の講演があった。選挙公約でダムの見直しをするといっていたので、それを実施しているだけだ。また、議会が検討委員会の答申を求めたが、その委員選出は知事に委ねられたので、賛成派の学者ばかり揃えても仕方ないということでダム建設に疑問を持っている2人の学者を委員に推薦した。その結論には議員の皆さんも賛成いただけるだろうと思っている。
 現在県職員の意識改革の途上にあるとも語られた。というのは、まだまだ県民に対してサーバント(下僕)であるという意識が薄い。職員の目がどちらに向いているかということである。いまその途上であるという。
 公共事業のおかしな点について2.3点具体的事例を挙げて説明された。1つは下諏訪ダム。過去洪水の被害が認められないのに、治水の必要性からダムが必要といわれているが本当に必要なのか、他の手段はないのかということで一時中止をして考えましょうといっているのに、田中はダムを作らないと決め付けられている。私は現地の人たちと車座集会を開いて直接住民の意見を聞いているのに、和服の好きな何とか言う大臣は「現場を知らない」と文句をいわれたが、小泉内閣になって現地も見ずに「ダム建設の見直し」を言われているが、私より現場を良く知っているのでしょうか。ダムは国の補助事業になれば約5割の補助金が下りてきます。また県が負担すべき額は起債が認められそのうちの3割ぐらいは国から援助金が出るので、地方自治体にとっては実質8割を国が持ってくれるので、政策実現を住民に見せることができ、支持を得られるおいしい計画ということになる。ところで、建設事業主体を考えると約8割を大手ゼネコンが持っていき、残り2割がJVを組んだ地元企業に回ってくる仕組みになっている。結局のところ国が出したお金はほとんど中央のゼネコンが持っていってしまうので地元の活性化につながらないという。ならば、もっと地元にあった計画でも良いのではないかということになる。
 次にレタスの産地の近くで作っている巨大な橋について語った。それは農林水産省の補助事業という。農林水産省は学校と病院だったか以外は何でもできる省だという。その補助をもらって橋を作っているのだが、それは巨大作物集積所を作る計画があって、新鮮な野菜をいち早く集積し、消費地に送るために必要だということらしい。近くの集積所に集めて直ぐ送ったほうがいたまないだろうと言うと、道が曲がりくねっているとぶつかっていたむという。むだだから橋を作るのをやめようといってもそれはできないらしい。会計は単年度だけれど橋のようなものでは先に橋梁などの鉄骨を作っておかないと当該年に工事ができないということがあって、すでに鉄筋などを作らせている。その分は約束事で買い取らねばならないということらしい。
また公共事業は申請時は費用を小さく見積もって、国が事業を認めたら大きく育てるのが常識らしい。何かの例で語っていた。
(田中知事の講演はテープに取ろうとしたのだが、機械が壊れていて録音できなかったのとメモをとらなかったので、かなりいいかげんの報告になっています。)
その他
中央省庁の情報公開法施行によって公開請求した結果、省庁によって対応にばらつきがあったこと、包括外部監査報告書の内容を検討した結果が発表され近くの豊田市がワースト5に選ばれたことが報告された(別紙参照)。また、各地の市民オンブズ団体のなかで注目される団体から報告があった。

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